会長ご挨拶

       

グローバル化時代のグランド•デザイン構築に向けて

日本マクロエンジニアリング学会会長 茂木創

今年(2017年)、日本マクロエンジニアリング学会(JAMES)は設立から32年を数えました。振り返れば、本学会が設立された1985年は、世界がその様相を大きく変化させるに至った「転換点」でもありました。この30有余年の間に、経済はグローバル化し、モノ、ヒト、カネ、情報や技術の移動が活発化し、私たちは多くの利益を享受できるようになりました。しかし、かつては局地的な被害で済んだ「危機」も、瞬時に伝播するようになっています。「対岸の火事」と高みの見物を決め込むことが許されない、そのような時代を私たちは生きています。

グローバル化した「危機」への処方箋として、効果的な技術開発と国際的な政策協調の推進は喫緊の課題です。同時に、新たな技術を効率的に組み合わせた政策提言―グランド•デザインの構築は極めて重要です。
JAMESは設立当初から、地球規模で考えねばならない問題について、各分野の専門家の叡智を集結させグランド・デザインの構築に向け議論を行ってきました。人口移動と難民問題、急速な地球環境変化への対応、資源の再利用化と持続可能な開発への取り組み、先進国や新興国で発生している少子化問題への提言、地政学的な不安の高まりとわが国の安全保障、食料・エネルギー問題等、これまで多くの学際的テーマを学会では取り上げてきました。

日本も世界も、「これからの30年」を考える時期にきています。日本学術会議協力研究学術団体として、その使命は大きいと考えております。
後に振り返って、本年が、日本マクロエンジニアリング学会がグランド・デザイン構築に向け、その一歩を踏み出した転換点となることを祈念いたします。

(参考)
茂木創(2010)「グローバル経済下の技術革新、国際協調とグランド・デザイン構築の意義」MACRO REVIEW,Vol.23,No.1, pp. 1- 4.より。 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmr/23/1/23_1_1/_pdf)

Top